農機具専門店が買い取った農機具はどうなる?輸出までの流れも紹介!

目次
- 買取された古い農機具はどうなるの?
- 1.部品取りされて、同じ型番の農機具を修理する
- 2.自社でメンテナンスを行い国内の農家さんに再販売
- 3.農機具の専門業者間で取引をする
- 4.メンテナンス後、海外へ輸出する
- 日本の農機具はなぜ海外で需要があるの?
- 農機具の輸出先の8割はEUとアジア圏
- 円安で日本産の製品が買いやすくなっている
- 農機具を輸出するまでの流れ
- STEP1.輸出先のバイヤーを探し、商談を行う
- STEP2.商談後、バイヤー側で輸入手続きを行ってもらう
- STEP3.横浜もしくは神戸港まで農機具を運搬する
- STEP4.農機具が入ったコンテナごと輸出される
- 輸出された農機具の使い道
- ①部品取りを行い別の機械に転用する
- ②部品を合わせて農機具を自作する
- ③修理・整備を行い再販売する
- まとめ
買取された古い農機具はどうなるの?
中古の農機具は需要が高く、高値で売れることも多いですよね。しかし、「買取された古い農機具はどうなるのか?」疑問に思われる方も多いと思います。そこで今回は、買取された古い農機具のその後について解説していきます。
買取された古い農機具のその後は主に4つのパターンに分かれます。
- 部品取りされて、同じ型番の農機具を修理する
- 自社でメンテナンスを行い国内の農家さんに再販売
- 農機具の専門業者間で取引をする
- メンテナンス後、海外へ輸出する
それではそれぞれ解説していきます。
1.部品取りされて、同じ型番の農機具を修理する
農機具は故障していても買取してくれる場合が多いです。何故かというと、農機具を分解してその部品を使用することができるからです。例えばエンジン等が故障していて動かなくても、買取してもらえるケースがあります。これは、バッテリーやプラグ等の交換で再び動く場合がある為です。この時に必要なのが、同じ型番の農機具の部品です。この部品を仕入れるために中古の安い農機具を買い取っている、というイメージです。このような理由からも中古農機具は買取してもらいやすいということが言えます。修理された農機具の売り方としては、店頭で売る場合が多かったのですが、現在はインターネットオークション等の販売方法も増えてきています。
2.自社でメンテナンスを行い国内の農家さんに再販売
買取した業者が、買い取った農機具をメンテナンスして国内の農家さんに再販売するというパターンもあります。中古農機具は基本的にメンテナンスが必要不可欠になります。故障している部品の交換やクリーニング等をしっかりと行い、使用できる状態にしてから再販売を行います。こちらのバターンでは特に、国内の小規模農家さんや新規参入の農家さんからの需要が高いです。理由は、農機具が新品よりも安く仕入れられるため参入コストが抑えられるからです。
3.農機具の専門業者間で取引をする
農機具の専門業者間には独自のネットワークがあります。こちらのパターンは、農機具の専門業者の中で中古の農機具が取引されるパターンです。農機具の専門業者間の市場では、一般の人が見ることができない価格で専門業者が買取した中古の農機具が売られています。この中には比較的新しい農機具・古い農機具、高価な農機具・安価な農機具が幅広く取引されています。
4.メンテナンス後、海外へ輸出する
こちらは、農機具を国内でメンテナンスした後に海外へ輸出するというパターンです。先ほども解説したように農機具は、買取されたタイミングでは動かないようなものでも、部品の交換やメンテナンスによって動かせるようになるものが非常に多いです。動くようになった農機具の多くは、海外へ輸出され販売されていきます。海外へ輸出されるというこのパターンが現在の中古農機具市場ではかなり多くなってきています。では、なぜ日本の中古農機具は海外からの需要が高いのでしょうか。
日本の農機具はなぜ海外で需要があるの?
日本の農機具はなぜ海外で需要があるのか?について解説していきます。中古農機具の海外への輸出する量は非常に多いです。輸出額は年々増加しており、2014年には海外への輸出額が2,407億円となっています。国内の農機具メーカー・農機具専門業者ともに海外輸出に力を入れています。ではなぜここまで海外で需要があるのか解説していきます。理由は大きく2つあります。
- 農機具が海外で需要がある理由
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- 農機具の輸出先の8割はEUとアジア圏
- 円安で日本産の製品が買いやすくなっている
それぞれ詳しく解説していきます。
農機具の輸出先の8割はEUとアジア圏
日本の農機具の輸出先を見てみると、8割がEUとアジア圏に向けて輸出されています。
なぜ、この2つのエリアで需要が高まっているのかについて解説していきます。
EUは基本的に国土の狭い国が多いです。その状況は日本と似ています。その為、日本の狭い農地で使用するために考えられてきた農機具とEUの農家さんが求める農機具が一致しました。これらのことからEUでの需要が高まりました。
アジア圏は基本的に発展途上国が多いです。農地も大きいため農機具なしの農作業では非常に大変です。そこで、新車の農機具の価格よりも大幅に安い値段で購入できる中古農機具を求めるニーズが高まったため、アジア圏での需要も高まりました。
円安で日本産の製品が買いやすくなっている
EUとアジア圏を中心に中古農機具の需要が高まっている理由はまだあります。それは円安の影響です。2012年に開始されたアベノミクスにより、円安が続いています。その為、日本の中古農機具は海外の農家さんからすると安く買えるチャンスなのです。このような経済背景もあり、日本の農機具の需要は高まっています。
農機具を輸出するまでの流れ
それでは、農機具を海外へ輸出するまでの流れを詳しく見てみましょう。先ほども解説したように、農機具の海外への輸出額は非常に大きいです。自分たちが売却した農機具はどのように海外へ輸出されるのでしょうか。主に、4つのSTEPで輸出されていきます。
- 農機具を輸出するまで
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- 輸出先のバイヤーを探し、商談を行う
- 商談後、バイヤー側で輸入手続きを行ってもらう
- 横浜もしくは神戸港まで農機具を運搬する
- 農機具が入ったコンテナごと輸出される
それでは、それぞれ解説していきます。
STEP1.輸出先のバイヤーを探し、商談を行う
中古農機具を買い取った専門業者は、まず輸出先のバイヤーを探して商談を行います。
主にウェブサイトのネット検索でバイヤーにたどり着き、そこから取引が始まることが多いです。取引先へ訪問したり、取引先が日本へ技術者・整備士を連れて訪問してくる、といったケースもあります。取引先とのコミュニケーションが円滑に行えるように専門業者とバイヤー間での訪問等を行っています。
STEP2.商談後、バイヤー側で輸入手続きを行ってもらう
商談がまとまった後、バイヤー側で輸入手続きを行ってもらいます。こちらの輸入手続きは国によって変わってきます。農機具は、穀物の種を運んでしまう可能性がある為、それらを規制するルール等もあります。きちんと国の規制に則り、バイヤー側で輸入手続きを行ってもらいます。
STEP3.横浜もしくは神戸港まで農機具を運搬する
輸入手続きが進み、いよいよ輸出の準備に入ります。中古農機具の海外輸出は船で行います。
主に船が出航する場所は、横浜、神戸港の2つです。主に関東圏は横浜へ、関西圏は神戸へと農機具が運搬されます。
STEP4.農機具が入ったコンテナごと輸出される
船で輸出する際には、農機具が入ったコンテナごと輸出されます。このコンテナの中にはぎっしりと農機具が詰め込まれ、EUやアジア圏の発展途上国へ輸出されていきます。これらの長い道のりを通って私たちが売却した中古農機具は海外へ運ばれていきます。
輸出された農機具の使い道
続いては、輸出された農機具の使い道について解説していきます。輸出された農機具は、そのまま売られるだけではありません。輸出された農機具の使い道は、主に3つあります。
- 輸出された農機具の使い道
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- 部品取りを行い別の機械に転用する
- 部品を合わせて農機具を自作する
- 修理・整備を行い再販売する
それでは、詳しく解説していきます。
①部品取りを行い別の機械に転用する
部品取りの場合、農機具はそのまま使われません。海外の業者が輸出された農機具を分解し、部品取りを行います。それらの部品を、別の農機具等に転用します。これを行うことで、輸出した状態では、動かない農機具でも部品交換することで動くことになります。これにより農機具を安く仕入れて売ることが可能になります。
②部品を合わせて農機具を自作する
部品を合わせて農機具を自作するケースでは、農機具はそのまま使われません。海外の業者が農機具を分解し、部品取りを行います。その後に、それらの部品を合わせて自作の農機具を製作し、販売します。この時に、現地のニーズに合った仕様に変え、より農家さんが使いやすくしていきます。日本では畑で使用されていたトラクターが海外では、海で漁網をけん引する用途で使われているということもあります。
③修理・整備を行い再販売する
輸入した農機具の修理・整備を行い再販売します。国内で修理・整備を行わなわず、海外で行うのには理由があります。それは人件費等のコスト面です。海外で修理・整備を行った方が経費がかからないので海外へ輸出してから現地の方が整備・修理を行っています。
まとめ
買取された農機具は、主に国内で使用されるか、海外へ輸出されるかの2つに分かれます。
国内・海外問わず、中古農機具は部品取り・再販売・解体が行われ、それぞれを求める方たちの手に渡っていきます。特に最近では、海外への輸出が主流になっています。主な輸出先はEU・アジア圏の発展途上国が8割以上を占めています。円安などの経済状況にも影響を受けますが、海外への輸出市場はこれからも大きくなっていくと考えられています。
私たちの知らないところで、使われなくなった農機具たちは形を変えて活躍しています。