農機具のメンテナンス方法を種類別で紹介|メンテナンスされた農機具は高値で売れる!

目次
農機具をメンテナンスしないとどうなる?
農機具をお持ちの方は、「農機具をメンテナンスしないとどうなるのか?」「農機具はどのようにメンテナンスをすれば良いのか?」などメンテナンスに関して疑問やわからないことがありますよね。今回は、そんな方に向けて農機具のメンテナンスについて解説していきます。
自分で出来るメンテナンスと農機具業者に任せるメンテナンス
農機具のメンテナンスには、自分で出来るメンテナンスと農機具業者に任せたほうが良いメンテナンスや修理があります。これを知っておくと、自分で余分な手間やお金をかけずに農機具をメンテナンスすることができます。
農機具の種類によっても異なりますが、自分できるメンテナンスは次のようなものになります。
- 自分で出来る農機具のメンテナンス
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- 点検(エンジン音・動作など)
- 清掃(エアクリーナ、ラジエータスクリーンなど)
- 補給作業(エンジンオイル、ラジエータの冷却水など)
上記のの作業が自分で出来る農機具のメンテナンスです。これらの作業はそこまで難しくなく、定期的に必要なメンテナンスです。余分な出費を抑えるために自分でメンテナンスを行うことがおすすめです。
これらのメンテナンスや修理以外は、農機具業者に任せる必要があります。
- 農機具業者に任せたほうが良いメンテナンス・修理
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- エンジンなどの大きな部品の交換
- 油漏れ、液漏れの修理
特に大掛かりな作業や専門知識が必要な場合は一度農機具業者に相談しましょう。自分でできるメンテナンスをしておくと、いち早く異常に気づくことができるので、無駄な出費を抑えることができます。
農業機械の種類別にメンテナンス方法を紹介
ここからは、農業機械の種類別にメンテナンス方法を紹介していきます。農業機械によって共通するメンテナンスがあったり、全く違うメンテナンスをする必要がある農業機械もあります。今回、メンテナンス方法を紹介する農業機械は次の種類になります。
- トラクターのメンテナンス方法
- 田植機のメンテナンス方法
- 刈払機のメンテナンス方法
- コンバインのメンテナンス方法
- 散布機のメンテナンス方法
それでは、それぞれ解説していきます。
トラクターのメンテナンス方法
トラクターのメンテナンス内容は以下になります。
- トラクターのメンテナンス内容
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- エアクリーナーの清掃
- バッテリー液の補充
- ラジエータの冷却水の補給、ラジエータスクリーンの清掃
- ファンベルトの張りを調整
- タイヤの空気圧の調整
- エンジンオイルの補給
- 燃料補給
- ブレーキペダルの確認
- ロータリの点検、増す締め
- クラッチペダル点検
- エンジンの異音確認
それぞれ解説していきます。
1.エアクリーナーの清掃
ほこりの多いところで作業した場合には、エアクリーナの汚れに注意しましょう。汚れている場合はほこりを落とすように清掃しましょう。エアクリーナが汚れているとエンジンに悪影響を及ぼします。
2.バッテリー液の補充
バッテリー液の液量が適正量内にあることを確認しましょう。不足している場合は、補給をします。また、バッテリー液の入れすぎには注意しましょう。充電時にバッテリー液が吹き出し、トラクターの金属部分を腐食させてしまう可能性があります。
3.ラジエータの冷却水の補給、ラジエータスクリーンの清掃
ラジエータにはサブタンクがついています。サブタンクからラジエータ内の冷却水が少なくなると、自動的に補給されます。そのため、サブタンク冷却水が適正量内にあるか確認しましょう。不足している場合は、清水を上限ラインまで補給しましょう。
4.ファンベルトの張りを調整
ファンベルトの張りを確認しましょう。ファンベルトの中間を指で押し、ベルトのたわみが規定量になっているがどうか確認しましょう。ファンベルトの張りを調整する場合は、ジェネレータ締め付けボルトを緩め、ジェネレータを移動させて張りを調整します。ファンベルトの張りが緩いと、オーバーヒートや充電不足の原因となるので注意が必要です。
5.タイヤの空気圧の調整
タイヤの空気圧を点検しましょう。タイヤの空気圧は規定値があります。その規定値に入っているかどうか確認しましょう。規定値から外れている場合はタイヤの空気圧を調整しましょう。タイヤの空気圧が高すぎると、タイヤがバーストし破裂して事故になる可能性がありますので気をつけましょう。
6.エンジンオイルの補給
オイルゲージを抜いて、先端をきれいに拭きます。差し込んでから再度抜いた時にゲージの上限と下限の間にオイルがあるかを確認します。不足している時は、給油口から上限ラインまで補給しましょう。
7.燃料補給
燃料タンクは満タンか、メインスイッチをONにして、計器盤の燃料計で点検しましょう。燃料タンクはできれば毎日作業終了時に満タンにするようにしましょう。タンクの燃料残量が少ないと、温度差によって水滴が発生しやすく、錆の原因になります。
8.ブレーキペダルの確認
ブレーキの調整が出来ていないと、事故につながります。ブレーキペダルのメンテナンスは非常に重要なので、常に作動状態を確認しておきましょう。ブレーキペダルを踏んで規定の遊び量かどうか、左右同時に効くか点検しましょう。規定の遊び量とその調整方法はトラクタの取扱説明書に記載されています。
9.ロータリの点検、増す締め
爪の取り付け状態と爪の摩擦程度を確認します。爪の取り付けボルト・ナットの緩みを点検し、緩みがある場合は増す締めを行いましょう。この時に爪の摩耗状態も点検しましょう。摩耗量が約半分を超えたら交換時期です。爪が摩耗すると反転性・砕土性が悪くなり、十分な性能が発揮されなくなってしまいます。
10.クラッチペダル点検
クラッチペダルを踏んで規定の遊び量かどうか点検しましょう。クラッチディスクが摩耗するとペダルの遊び量が少なくなります。遊びが少なくなると、クラッチの伝達ができなくなります。規定の遊び量と違う場合は、クラッチロッドのターンバックルで調整します。
11.エンジンの異音確認
エンジンを始動したところで、排気ガスの量やエンジン音に異常がないか確認しましょう。この時、異常がある場合は修理が必要な可能性が高いため、早めに農機具業者に相談しましょう。
田植機のメンテナンス方法
田植機のメンテナンス内容は以下になります。
- 田植機のメンテナンス内容
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- バッテリー液の補充
- エンジンオイルの補充
- エアクリーナの清掃
- 燃料コシ器の掃除
- タイヤの空気圧
- クラッチペダル
- ブレーキペダルの点検
- 植付爪の点検・交換
- 植込フォークの作動確認
- 注油・グリスアップ
それぞれ解説します。
1.バッテリー液の補充
バッテリー液の液量が適正量内にあることを確認しましょう。不足している場合は、補給をします。また、バッテリー液の入れすぎには注意しましょう。充電時にバッテリー液が吹き出し、田植機の金属部分を腐食させてしまう可能性があります。
2.エンジンオイルの補充
オイルゲージを抜いて、先端をきれいに拭きます。差し込んでから再び抜いた時にゲージの上限と下限の間にオイルがあるかを確認します。不足している時は、給油口から上限ラインまで補給しましょう。
3.エアクリーナの清掃
エアクリーナの汚れに注意しましょう。汚れている場合はエアクリーナを清掃しましょう。エアクリーナが汚れているとエンジンに悪影響を及ぼします。
4.燃料コシ器の掃除
燃料コックを「閉」にしてから、コシ器のリテーナリングを回してカップを取り外します。カップ内の水、ゴミを取り除き、フィルタの目詰まりなどを清掃しましょう。
5.タイヤの空気圧
タイヤの空気圧を点検しましょう。タイヤの空気圧も規定値があります。その規定値に入っているかどうか確認しましょう。規定値から外れている場合はタイヤの空気圧を調整しましょう。タイヤの空気圧が高すぎると、タイヤがバーストし破裂して事故になる可能性がありますので気をつけましょう。
6.クラッチペダル
クラッチペダルの遊び量を点検し、規定の遊び量でない場合は調整しましょう。
7.ブレーキペダルの点検
ブレーキの調整が甘いと、事故につながります。ブレーキペダルの点検は、非常に重要なメンテナンスです。ブレーキペダルは、常に作動状態を確認しておきましょう。ブレーキペダルを踏んで規定の遊び量かどうか、左右同時に効くか点検しましょう。規定の遊び量とその調整方法は田植機の取扱説明書に記載されています。
8.植付爪の点検・交換
植付爪の摩耗・変形がないか点検しましょう。植付爪が摩耗や変形していると、浮き苗や転び苗が発生する原因となります。爪の摩耗のチェック方法は、取扱説明書の原寸図と合わせてみる方法と、爪の長さを測る方法があります。
9.植込フォークの作動確認
エンジンを始動し、植付部分をゆっくり作動させて植込みフォークの動きを確認しましょう。植付部分が作動しない時は分解修理が必要です。植付部分は複雑な構造になっているため、農機具業者に相談しましょう。
10.注油・グリスアップ
田植え機の取扱説明書には必ず注油箇所が記載されています。それを参考にして注油やグリスアップをしておきましょう。その際に、異常を見つけた際には農機具業者へ相談しましょう。
刈払機のメンテナンス方法
続いて、刈払機のメンテナンス内容は以下の通りです。
- 刈払機のメンテナンス内容
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- 刈刃の点検
- 刈刃の取り付け
- 飛散防護カバーの取り付け
- ギアケースのグリスアップ
- 混合ガソリンの準備
- 長期格納時のメンテナンス
それぞれ解説していきます。
1.刈刃の点検
刈刃の点検は、事故を防止するために重要なメンテナンスです。特に刈刃のひび割れは作業中に振動が伝わり、徐々に大きくなります。刈刃が欠けて飛んでくる恐れがあり、大変危険です。作業前には時間をとって必ず確認しましょう。少しでもひび割れがある場合は、惜しまず新品と交換しましょう。
2.刈刃の取り付け
刈刃がしっかりと固定されているか確認しましょう。取り付け方法は、取扱説明書をよく読み、作業前には必ず確認しましょう。
3.飛散防護カバーの取り付け
作業をするときは必ず飛散防護カバーを取り付けましょう。飛散防護カバーを取り付けないで作業すると、石などの飛散物が作業者に飛散し怪我をする可能性があります。作業している本人だけでなく、周りにいる人にも怪我をさせる可能性があります。取扱説明書に記載されている正規のやり方で飛散防護カバーをつけてから作業を行いましょう。
4.ギアケースのグリスアップ
ギアケース内の歯車は高速で回転しています。歯車周辺を焼き付かせないために定期的にグリスアップをしましょう。注入口から、耐熱用リチウムグリスを口元まで補給します。
5.混合ガソリンの準備
2サイクルエンジンには、ガソリンとオイルが混ざった混合燃料を使用します。混ぜる割合はオイルによって変わってきます。そのため、オイルごとに確認してから混ぜましょう。混合ガソリンは基本的に長期保存せず、1回の作業で使い切るようにしましょう。
6.長期格納時のメンテナンス
作業終了後、タンクに燃料を入れたままにしておくと燃料が変質してエンジンが始動しなくなってしまいます。そのため、1週間以上使用しない場合は、燃料を抜いておきましょう。燃料の抜き方は刈払機の取扱説明書に記載されています。取扱説明書を確認してから燃料を抜きましょう。
コンバインのメンテナンス方法
続いては、コンバインのメンテナンス内容は以下になります。
- コンバインのメンテナンス内容
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- ラジエータの冷却水の補充と水漏れ点検
- 燃料の補給
- ラジエータ防塵フィルタの清掃
- エアクリーナの清掃
- ファンベルトの張りを調整
- エンジンオイル量と汚れ
- 刈刃の点検と交換
- バッテリー液の補充
それではそれぞれ解説していきます。
1.ラジエータの冷却水の補充と水漏れ点検
冷却水の量を点検しましょう。冷却水が不足している場合は規定量まで補充をします。水漏れは、エンジンをアイドリング状態にして、ラジエーター、ウォーターポンプなど各部からの水漏れの有無を点検します。水漏れしている場合は、農機具業者に修理依頼を出しましょう。
同時にホースなどに亀裂がないかも確認しておきましょう。
2.燃料の補給
燃料タンクはできれば毎日作業終了時に満タンにするようにしましょう。タンクの燃料残量が少ないと、温度差によって水滴が発生しやすく、錆の原因になります。
3.ラジエータ防塵フィルタの清掃
ラジエータ防塵フィルタは圧力空気や水道水などできれいに清掃します。
4.エアクリーナの清掃
エアクリーナのエレメントを取り外し、軽く叩いてホコリを落としましょう。
5.ファンベルトの張りを調整
ファンベルトの張りを確認しましょう。ファンベルトの中間を指で押し、ベルトのたわみが規定量になっているか確認しましょう。ファンベルトの張りを調整する場合は、ジェネレータ締め付けボルトを緩め、ジェネレータを移動させて張りを調整します。ファンベルトの張りが緩いと、オーバーヒートや充電不足の原因となるので注意が必要です。
6.エンジンオイル量と汚れ
オイルゲージを抜いて、先端をきれいに拭きます。差し込んでから再び抜いた時にゲージの上限と下限の間にオイルがあるかを確認します。不足している時は、給油口から上限ラインまで補給しましょう。
7.刈刃の点検と交換
作業前には刈刃を確認しましょう。歯が欠けたり、刈刃と受け刃の隙間が広くなっているものがないかを確認しましょう。隙間が広いと切れ味が悪くなります。結果、稲が詰まりやすくなり、効率が低下します。
8.バッテリー液の補充
バッテリー液の液量が適正量内にあることを確認しましょう。不足している場合は、補給をします。また、バッテリー液の入れすぎには注意しましょう。充電時にバッテリー液が吹き出し、周辺の金属部分を腐食させてしまう可能性があります。
散布機のメンテナンス方法
散布機のメンテナンス内容は以下になります。
- 散布機のメンテナンス内容
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- シャッターレバーの確認
- 調量装置の調節
- タンク蓋パッキンの破れ
- シャッターリンクの注油
1.シャッターレバーの確認
シャッター軸が錆び付いて動かない時はリンク部に注油します。基本的に、レバーが一番下の時にシャッターが全て閉まるようロッドの長さを調整します。
2.調量装置の調節
粉剤・粒剤・肥料に合わせ調量装置を調節する方法を、作業前に取扱説明書を見て確認しておきましょう。
3.タンク蓋パッキンの破れ
タンク蓋のパッキンは内部機密を保つものです。このパッキンが破れたり、変形したりすると、薬剤が漏れ出してしまいます。格納時に蓋を締め切っているとパッキンが切れやすくなります。そのため格納するときは必ず、タンク蓋パッキンを緩めておきましょう。
4.シャッターリンクの注油
動力散布機全体の清掃が済んだら、シャッターリンク部へオイルをさします。これにより、固着を防ぐことができます。格納前にはシャッターリンクの注油作業を行いましょう。
農業機械を定期的にメンテナンスするメリット
ここまでは、農業機械のメンテナンス方法を種類別に紹介してきました。
「農業機械のメンテナンスはなぜしたほうが良いのか?」と思われる方に向けて、農業機械を定期的にメンテナンスするメリットについて解説します。農業機械を定期的にメンテナンスするメリットは大きく2つあります。
- 農業機械を定期的にメンテナンスするメリット
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- メリット①農業機械を長く使うことが出来る
- メリット②売却時の買取金額が高くなる
それぞれ、詳しく解説していきます。
メリット①農業機械を長く使うことが出来る
農業機械を定期的にメンテナンスすることで、農業機械を長く使うことができます。正常な状態で使用することにより、部品の劣化や摩耗を抑えることができるためです。また、農業機械は定期的にメンテナンスすることで大きな故障を未然に防ぐことができます。そのため、修理にかかるコストも削減することができます。
メリット②売却時の買取金額が高くなる
農業機械を定期的にメンテナンスすることで、農業機械の売却時の買取金額が高くなります。なぜかというと、部品それぞれの摩耗具合や劣化の度合いが良くなるためです。メンテナンスをしておらず、部品が摩耗したり、劣化しているとその分だけ価値が下がってしまいます。長く使いたい農業機械だけではなく、売却を考えている農業機械も定期的なメンテナンスを行いましょう。
まとめ
農業機械は、定期的なメンテナンスが非常に重要です。農業機械を長く使ったり、売却時に価値が上がったりとメリットは大きいです。農業機械は種類ごとにメンテナンス方法が異なります。それぞれの農業機械のメンテナンス方法を確認し、メンテナンスしましょう。その中で、異常や不明点があったら早めに農機具業者に相談・修理の依頼をしましょう。早めの処置と対応で、修理コストを抑えることができます。
農業機械にかかるコストを抑えられるように、日頃から定期的なメンテナンスをしていきましょう。